ポガティブ、吠える

2014.12.02 夜　【Blast】

ダン姐さんからハイタッチを受け、いざキャンプシップへと飛び込んだものの
正直、自信はない、これっぽっちもだ

先週の土曜夜・日曜午前・そして午後
3連戦のDF【巨躯】戦
これを各回で3連戦していた、9回

それに今日、12月2日のレアドロップブーストデーの【巨躯】戦
こちらも3連戦

合計で12回

よくまあ廻ったものだ、と思い返してキャンプシップで溜め息をつく

ジェットブーツを履き、PA・テクニックがちゃんと装着されてるか確認する
よし、大丈夫、っと顔を上げたのち

新調した服に合わせたキャンディーヘッドギアを深くかぶり直す

新調したのはエイディルールのカラーチェンジをしたもの
淡い藍色に染めることが出来て
ボディペイントとしっくり合ってて、とっても気に入っている

キアイを混めてプレミアム印のドリンクを一気に飲み干し、テレプールへと飛び込む

･･･あたしは未だかつて☆12武器を出したことはない
まわりの皆程ではないにしろ、それなりにこれまで周回はしてきたつもりだ

でも、出したことは、未だかつて、ない
昨今では☆13へとシフトしつつある今であってもだ

とはいえ、これは昔から。
運は全然ない自信はある

　☆10が実装された時にも実装されてから3ヶ月ずっと出なかった
　回りが5個とか、多い人が10個とか出しているにも関わらず、だ
　勿論一緒に当時なら盛況であった「まるぐる」もした、それでも出なかった

　出ないまま、3ヶ月が過ぎた時に一つの仕様変更告知が出された

　「レアドロップ武器には必ず属性付与がされるようになります」

　この仕様変更がなされる前には、
　レア武器でもスペシャルウェポン化されずに落とされた場合、
　無属性になることがあった

　･･･そう
　あたしはこの仕様変更の告知があったのち、
　仕様変更の2日前に☆10をやっと1つめを拾えたのだ

　アサシンクロー

　･･････

　･･･無属性の

SPオーダーが昔、要求数が異常に多かった頃、
ファングにいたっては緊急任務でしか確実に会えないのに、7体とかだった

･･･あたしの居るPTでは恐ろしくよくレアファングを引いた
しかも最後の周回であと1体討伐すれば終わる、とかそういうタイミングで、だ

要求数が緩和された昨今でも
バル・ロドス討伐デイリーに赴けば
レアの金槌型の頭をしたアイツを本当によく釣り上げる

クォーツ討伐オーダーを受ければクリス・ドラールが降ってきて
かといって
クリス・ドラール討伐オーダーを受ければクォーツが降ってきて

　そう、ほらさっきだって

　森林探索に行けばとうせんぼされるし
　ゼッシュレイダ討伐に行ったはずなのにこれだし

　そいえばクーガー、おまえ、この前もとうせんぼしたよな･･･ッ

ダーツをすれば 「Miss! 0」 を出す、
3連続Missを繰り返し、【逆ターキー】なんて不名誉を頂いたこともある

　ドゥドゥに挑めば95%を最終工程で落とす
　･･･あ、それはみんなか

とまあ、枚挙に暇がない

あたしは普通の人より運がないのは自分でもよく知ってきた

それでも、やっぱり夢は持つ

この12回、一応精一杯のブーストをして挑んだ

とはいえ、今までの11回
出したものは☆11以上は･･･ゼロ、特に良い特殊能力の☆10以下品も、ない

正直言えば、これからはじまる今回もそういう流れなんだろーなーと思っている

とはいえ、あたしはそこまで出ない事を苦に思ったことはない方なのかも、しれない

まず、周りの皆より周回が圧倒的に、少ない
それはリアルの事もあるし、仕方ない

そして、戦闘自体を楽しもうと考えちゃってる･･･
その分回数が少ないことにも反映されているんだと、思う

･･･っと、そんないろいろと混じった回想は一瞬で吹き飛ぶ
まずは巨躯を撃退しなきゃ

アークスシップ残骸に降ろされたあたしは、
目の前の大きな転送装置前に他のアークスが集まっているのを見る

まずは上手く動けるよーにと願掛けみたいなものをする

最初に連蹴を放つグランヴェイヴを仕掛け、その後のサマーソルトで高度を稼ぐ
このサマーソルトを繰り返して、高度を十分に稼いだのち、
最高高度でナ・ゾンデや
回転蹴のモーメントゲイルや
防衛用にセットしているラ・バータ、等々を高度を維持しつつ複数回する

そしてヒルダさんの通信が切れたあたりを見計らって･･･

縦回転蹴のストライクガストを放って
最高高度から一気に地面へとカカトオトシを落とし込む！

周囲に赤い蒸気のようなエフェクトがたちこめる

ここまで床に落ちずにやりきれば

「今日は上手く動けるかも！」

･･･なんて思うわけで、本当にただのオマジナイ

でも、これを繰り返すお蔭でどのPAが繋がってどんな空中戦が出来るか、いろいろ試せて、面白い

転送が開始される

目の前には名前に恥じない、【巨躯】が腕を構え、あたし達を見下ろす
手慣れた周りのアークス達は一斉に散開し、攻撃を開始する

･･･あたしも続く
まずはグランウェイヴを一回
蹴りを放つ前にフォトンをブーツから逆噴射させ、サマーソルトへと移行させる

宙返りをする顔面をかすめて、巨躯の巨大な掌が突き出される

掌をかわしたのち、サマーソルトを止め、ブーツに光属性フォトンをチャージする
かわしたためにそばにあるのは彼奴の手首
その弱点へ槍型光テクニックのラ・グランツを蹴り込む

ブーツには光フォトンが貯まっているので
それをくるっと飛び上がる動作でブーツから振り払う、エレメンタルバースト。
心地よい音と共に炸裂した光フォトンも本命のラグランツと共に手首を襲う

基本、戦闘はこの繰り返し、
相手の攻撃はサマーソルトや、他にステップ、武器派生の回転回避等を使ってかわす
そこで生じた隙にテクニック等で攻撃していく

ブーツギアが十二分に貯まっている際には
最近解禁された新PA、ヴィンドジーカーを放つ
ブーツに蓄積されたギアエネルギーを圧縮して放つこの一点蹴りワザは
他のブーツ系PAとは一線を駕したダメージを与えることが出来て
これを上手く決められるようにするのが最近の目標、かな･･･

腕を全て壊された巨躯は
不適に笑い、新たに腕を増やす

･･･いいぜ、巨躯。あたしも面白いよ

距離を取らせる前にグランヴェイヴを使い、相手の額のコアに向かって急上昇する
コアを思い切り蹴ったその反作用で、サマーソルトをし、こちらも距離を取る

この時この戦闘宙域での最高高度に達してしまうのだが
サマーソルトで宙返りになったところから、
ちらっと巨躯・他のアークス達・甲板を見下ろす

この見下ろした、真紅に染められた空間が大好きだ

今ヘタにブーツの浮遊を切って降りてしまうものなら、
巨躯の投げる氷塊にぶつかってしまう

ここで転送前に練習した浮遊技術を出し切る

通常蹴から派生回転蹴で高度を維持したのちナ・ゾンデを放つ
ナ・ゾンデの硬直を派生で解除して、グランヴェイヴのサマーソルトで甲板上空を左から右へ飛ぶ
モーメントゲイルで風を斬り、上空から下の状態を確認する

巨躯が甲板に接近してるのを見て
最後はやはりストライクガストを放ち、
見定めた落下地点周囲にいるアークスへシフタを掛ける

そして後半戦、
ここも攻撃方法は変わってないので、先程の戦術を継続する

とはいえ、腕は増えているので攻撃は熾烈だし、範囲も広くなっている

グランヴェイグのサマーソルトが切れたところで腕の追撃が来たら？
テクニックをチャージしてたり、ヴィンドジーカーのブーツへのチャージ中に敵の攻撃で怯んでしまったら？

何をとっても一瞬のミスでやられる可能性がある

もちろん、ブーツを使い始めた最初は、ものすごい数、これらの失敗を繰り返した
でも今は大分慣れて、このちょっと危ないくらいが、あたしはすごく楽しめている

巨躯の戦闘狂も大概なもんだけど
･･･あたしも、あたしだ

そして味方アークスの強力な一撃で巨躯は崩れ去り、撤退させることに成功する

報酬品が入った赤箱を目の前にして、慌ててブラオレットに持ち換える
持ち替える理由は･･･ここを見ている人なら大体分かってますもんねｗ

さ、目標は達せられるのか･･･

･･･うん

やっぱり、出ないものは出ないんだよね

結局、出ないものは、出なかった

そんなものだ

･･････

結構、頑張ったつもりだったんだけどなぁ･･･

何度も同じ抽選を繰り返し、何度も同じ結果を見てきた

･････････

･･･あたしだって、人間だ

一緒に遊べば、嫉妬だってする
同じ時間、同じ事をしていたって、
報酬が異なるのはこのゲームの他、どのゲームでもよくあることだ

でも、差を実感し、悔しさが溜まってしまうことは、否定出来ない
こうもドロップ緩和がされてきても、回数をこなしても、出ない

回数を考えてしまったからか、鬱憤が一気に心の底から沸いてしまう

あ･･･やばい ･･････止められない･･････

悔しいよ！　一緒に遊んだのに、同じ成果にならないなんて

分かってるよ！　出るまで頑張れば、それは出るものだって

怖いんだよ！　独りだけ、何も出さないまま置いてきぼりになるのは

当然だよ！　あたしだって珍しい、上位ものを手に入れて更に上を目指したい

･･･でも、一番悔しかったのは
出ない人がいるってことを、分かってくれない
そう、思っちゃった所から徐々に、ジワジワと
自分の気持ちが変わって来ちゃったことなんだろう

とんでもなく珍しく、
そして皆が追い求めるものを手に入れたある人はこう言っていた
「幸せだ」と

･･･なんでだろう、いつからだろう、
それはこちらが不幸であるような気分になってしまっていったのは

一緒にエクストリーム・クエストに赴いて
同時に出した、識別不明のスペシャルウェポンを鑑定依頼に出し
隣はあたしにとって、いつもの鑑定品を片手にこう言っていた

「？層ボスからは今まで☆11品しか出なかったからてっきり確定だと思ってたのに･･･」

･･･なんでだろう、いつからだろう、
それが格差に感じてしまうようになっていたのは

一緒に遊んでいて、レアなんてどーせ出ねーよ！そう言い切った人が
レアを出し、何食わぬ顔でこれじゃない！と言う

･･･なんでだろう、いつまでも同じ☆9なんかのレア品を拾って、それでも
「出ないよね」と苦笑いしながら愚痴ること、それさえできなくなったのは

少しずつ距離は開いて、開いて
それが悔しくて、怖くて、
回数でなんとかしようともがいて、頑張って、ガンバッテ

でもそれでも追いつけはしなかった
一緒に回数をこなせば、それだけ差は拡がり、それを目の前で見てきた

･･･そう、あたしは、運がない

その一言で片付くものをあたしはずっと、ずーっとココロのどこかに引っ掛けてきてた

でももうやめようと思う

上級レアで感じ、
☆10で感じ、
☆11で感じ、
☆12で感じ、

恐らく☆13でもこのままじゃ、感じる、
これから先も同じ事は繰り返されるだろう

でももうやめよう
思いっきり開き直ろう

たぶん、時が過ぎ、いつかはあたしにも☆12や、その先の上位のレアは出る、と思う

けれど、それの属性を高める為にはもう1個必要、となり
それを手に入れるには今までずーっとやってきた周回を繰り返す、なんてことになる

･･･それにあたしは意義をもう、見出せない

ネガティブなのかと言われればそうかもしれない

でも、この周回「数」にあたしは楽しさを見出せない
人一倍努力数が必要といわれるなら、あたしはそれをゲームでは、しない

それよりも、その周回に楽しさを見出したい

先の巨躯のように失敗すればやられるような楽しさを、
他人が見ていないような視点から新たな発見を出来る楽しさを、
新たな出会いから見出せる楽しさを、

人一倍求められる努力数の代わりに、それらを貪欲に求めて行きたい

それが楽しいってやっぱり思うから

—— —— —— なーんて、ことを考えながら
あたしは他のアークス達が引き払ったあとの戦場の上空でぐるぐるナ・ゾンデで浮遊している

巨躯戦が終わったあとにもついついこうやって浮上して遊んでしまう･･･

やっぱ、この夕焼けとも違う、真っ赤な空間は不思議と綺麗なんだよな･･･

ジェットブーツがアークス武装に認可されてから、
いろんな視点で戦場やら、敵やら、仲間やら、アークスやら、
･･･諸々を見れるようになった

防衛任務での広い敷地も見渡せるようになって、そういう景色にも楽しさがある
他のアークスの人達に上空で遊んでるのを見てツッコまれた事もあるし、楽しかった

そう、楽しいって思える

･･･だから、あたしはこれからもこのゲームを続けたいと思う

たとえ、欲しい、夢にまで見たアイテムが夢のまま終わるとしても
たぶん、あたしがレアを求めて、沢山周回したって、
それはつまらない議事録になってしまうだろう

色んな視点で、この世界を見たい
色んな人と話して、この世界を繋げた思い出が得たい

･･･そういえば、【侵入】防衛任務で、防壁の高さから一望した写真撮ったんだっけ･･･
･･･そういえば、こうやって巨躯戦後に上空で遊んでたら、別のアークスにイル・フォイエ降らされたんだよな･･･
それにはミラージュステップでかわして、カカトオトシで襲い掛かったら笑われたっけ

そして、それらを懐かしく笑顔で振り返ることができるようにしたい

･･････

･････････うん、ひと通り気持ちを整理できたので

最後に一回、っとナ・ゾンデで思いっきり回す

パティちゃんに良く似てる！と言われる自慢の声で思いっきり叫ぶ

もっともっと！
もっともっと！！
もっともっと！！！

運がないなりな、生き方をしよう
そしてないなりに、吠えよう、ポガティブに